入れ歯

入れ歯の歴史

入れ歯の歴史

入れ歯とは、三省堂「大辞林」によれば、「抜けたり、抜いたりした歯を補うためにはめる、人工の歯。義歯」とあります。

では、人類は入れ歯というものを何時頃から使っていたのでしょうか?これは意外に古いので驚かれるかもしれません。

最も古いといわれているのは、紀元前700年頃、北イタリアのエルトリア人が人間の歯や動物の歯を使って義歯を作っていたといわれています。

日本では、そもそもは仏教とともに伝来し、平安時代には、木床義歯が僧侶を中心に使われ、江戸時代には、仏師に代わって専門の入歯師が現れ、一般庶民にも広く普及したそうです。入れ歯の材料は、ヨーロッパでは骨や象牙、さらに時代が進むと陶器や金の利用、またその後はエボナイト、アクリル樹脂などが使われるようになりましたが、日本においては、木製の床が使われていたようです。

入れ歯の種類

入れ歯

現在では、プラスチック、金、銀、チタン、セラミック、メタルボンド、ボーセレン(陶器)
などが使われています。

 入れ歯の種類ですが、差し歯(歯の根が残っている場合にのみ使用可能)、ブリッジ、インプラント義歯(骨に穴をあけて埋入するもの)、有床歯床がありますが、一般的には、この有床義歯を「入れ歯」と呼んでいます。
これには、部分入れ歯(局部床義歯)と総入れ歯(全部床義歯)があります。
 では入れ歯の治療方法についてみていくことにしましょう。

総入れ歯の治療の流れ

総入れ歯

まずは総入れ歯から。これは上顎または下顎の歯をすべて失った入れ歯のことです。
治療方法は一般的には以下の5段階になります。

  1. 口腔内診査(医療面接)
  2. まず口の中を調べ、どのような入れ歯が良いか(形や治療方法)を調べ、治療の予定をたてます。この時型採りをする場合もあります。

  3. 型採り(印象採得)
  4. トレーと呼ばれる枠を使って精密な型を採ります。

  5. 咬み合わせの記録(咬合採得)
  6. ロウでできた咬合床(こうごうしょう)を使って上記の咬み合わせを採ります。

  7. 試し入れ(試適)
  8. ロウで出来た入れ歯を実際の口にいれ、歯並びや色、形、咬み合わせ等をチェックします。

  9. 完成(装着)
  10. 出来上がった入れ歯を口に入れ調整をします。

総入れ歯は、レジンと呼ばれるプラスチックの樹脂でできたものと、チタン等の金属でできたものの2種類があります。
総入れ歯は、まず痛みがないかどうかチェックし、痛みがある場合には、歯科医院で調整をしてもらいます。
どうしても慣れるまでには1週間程度はかかってしまうでしょう。

総入れ歯の手入れ方法

総入れ歯の手入れ方法

総入れ歯のお手入れは、次のようになります。

  1. 食事の後は、流水下で、義歯専用ブラシで掃除する
  2. 義歯清浄剤(ポリデントなど)を使うと効果的
  3. 磨き砂など研磨剤は、義歯の表面を傷つけるので使用しない
  4. 寝る時は医師に指示された場合を除き、基本的にはずす
  5. 外した義歯は良く洗い、コップなどに水を入れて保管しておく
  6. 総入れ歯の出し入れは家族であっても見せない方がよい

こうして常に衛生的に扱うことが重要です。

部分入れ歯の治療の流れ

部分入れ歯

 次に部分入れ歯の治療法にうつりましょう。
基本的に治療法は、総入れ歯とほどんど変わりません。
部分入れ歯の種類ですが、これにはいろいろな種類があります。

  • ・クラスプ入れ歯
  •  クラスプという引っ掛けるタイプのもので、保険適用の歯はほぼこのタイプです。

  • ・コーヌス・テレスコープ義歯
  •  クラスプを必要としないかぶせるタイプのもの。技術的に難しいため多くの歯科医院ではおこなっていません。

  • ・スマイルデンチャー
  •  薄く、軽く、弾力があり、見た目が良く入れ歯とは解らないほどで、笑顔に自信がもてます。

  • ・シリコーン義歯
  •  義歯床の一部がシリコンでできており、痛みが少ないものです。

  • ・ホワイトクラスプ
  •  クラスプに金属を使わず、白いプラスチックを使用したもの。金属よりも目立ちません。

  • ・アタッチメント義歯
  •  入れ歯を磁石で固定するタイプです。

総入れ歯の手入れ方法

部分入れ歯のお手入れは、総入れ歯とほぼ変わりませんが、金具付きのものは、自分でバネを調節するようなことはやめましょう。
また義歯をはずしたら、義歯のお手入れも大切ですが、自分の歯のお手入れを忘れないようにしてください。金属のバネがかかっている歯は大きな負担がかかっている上に汚れやすいので虫歯や歯周病等の原因になります。

納得できるまで説明する

最後に入れ歯には様々な種類があり、健康保険がきくものときかないものがありますので、入れ歯を決める時は事前に十分に医師に相談してください。